せっかく展示会を開いたけど、来場者数も少なくイマイチ盛り上がりに欠けて来場者とのコミュニケーションもそんなに多くならなかった...といったお悩みをよく聞きます。多くの労力と費用をかけて開催したのに効果がなかなか出ずに、上司やクライアントからあまりよろしくない評価を受けるということもしばしば...
この記事は『主催者として展示会の運営を成功させる』という観点での内容となります。リードを獲得するためという目的の元、イベントの企画をするところから当日の運営の方法までトータルでご紹介します。自社単体での開催・出展社を募っての開催も含めて、展示会の主催をお考えの方はぜひ最後までご覧ください。
・そもそも、展示会はなぜ開催するの?
・まずは展示会の計画を立てよう!
∟目的設定
∟目標設定
∟予算設定
・展示会開催に向けた事前の準備をする
∟出展社の誘致
∟来場者の集客
∟展示会の準備
・展示会当日はスマートな運営でリードを最大化しよう!
∟来場パスの発行
∟素早いアテンド
∟行動履歴の取得
∟アクションポイントの発行
∟セミナー実施
∟ロイヤルティの向上も大切
・クロージングするまでが展示会
・まとめ
「セミナー」や「DM」といったものから「ウェブ広告」「自社サイト」まで、デジタル化の進んだ昨今では企業と顧客をつなぐ接点を数多く作ることができます。もちろん、「展示会」もその接点の一つにすぎません。「展示会」と一口に言ってもその種類は様々。自社の新商品を取引先の関係者に見てもらうための展示会もあれば、業界単位で複数の企業が出展して感度の高い来場者を集めて開催される展示会もあります。
どんな種類の展示会でも、実施するとなると当日の受付やアテンド人員の手配、ブースや資材の手配などなかなかに重労働。それでも展示会が根強い人気を持つ理由として、"顧客(あるいは顧客になりえる人)と直接的なコミュニケーションを取ることができる"という点が上げられるでしょう。
メルマガや自社サイトといったデジタルを介したコミュニケーションだと得られない人と人とのやり取りが、最初からいきなりできるというのが展示会の大きな魅力です。他にも、製品を実際に触ってもらえる、デモをその場で操作できるといったリアル接点ならではの強みもあります。
つまり、数あるリード獲得施策の中で展示会はもっとも商談に繋げやすい接点である、といえます。とはいえ、期待通りに展示会でリード・商談を獲得できているといえる企業はそこまで多くはないのではないでしょうか?展示会は毎週・毎月のようなスパンでやるようなものではないので、ノウハウの共有や体系化がなかなかしにくいというのも事実...
せっかく面倒な手間をかけて実施する展示会、来場者満足度の高い運営でリードの獲得を最大化させましょう!
どんなことでも『段取り八分の仕事二分』。準備の段階で八割型結果が決まるものです。これは展示会も例外ではありません。しっかりとした企画があってこそ理想とする展示会の成果を上げることができます。
この章では、「展示会の企画をどのようにやるか?」という課題を「目的設定・目標設定・予算設定」という3段階で解説していきます。
まずは「なぜ展示会を開くのか?」という目的を設定することから始めます。
展示会を開催するうえで目的となるのは主に4つ。 「見込み顧客(リード)の獲得」 「商品の訴求・認知度の拡大」 「企業・ブランドのブランディング」 「取引先企業とのコミュニケーション」 などが挙げられます。
それぞれの目的によって決めることもやることも大きく変わってくるので、目的に合わせた準備が必要です。
(今回の記事全体を通してでは、BtoBにおける最も重要な「見込み顧客(リード)の獲得」について取り上げていきます)
なぜ展示会を開くのか?を明確にすることで、企画に一貫性を持たせて不要な要素を排除することができます。「見込み顧客(リード)の獲得」を目的とする場合は、来場者の課題を見据えてリードに繋がるようなブースの設計やチラシの構成を考える必要が出てくるでしょう。
続いて、その目的に対して展示会が成功したかどうかを判断するためのKPI(Key Performance Indicator)を設定します。KPIを設定することで、展示会の開催後に社内や主催企業との間で発生する「で、開催した意味はあったんだっけ?」といった悲劇を避けられます。
リード獲得をもとにした展示会におけるKPIは
「集客数(自社主催であれば)」 「受注数」 「商談数」 「名刺・連絡先獲得数」 の主に4つになります。
「見込み顧客(リード)の獲得」を目的とする場合、大きなKPIとしては「名刺・連絡先獲得数」になってきます。展示会にくる来場の状態は様々、「とりあえず会社に言われたから資料だけ適当に集めて帰るか...」といった冷めた人から「うちの企業は○○という課題をすぐにでも解決しないといけない!」といった熱意の高い来場者まで様々です。
とはいえ...そんな中でいきなり受注や商談を展示会で獲得するというのはかなりハードルが高いので、やはり多くの企業にとって設定するべきKPIは「名刺・連絡先獲得数」となるでしょう。
「一日で○枚の名刺・連絡先を獲得する!」という数値目標を設定することができれば、午前中は○枚、午後は○枚だから...1時間で△枚か!という細かい目標まで決めていけるので、細かい施策の調整やモチベーションの維持にも繋がります。(というより、目標値なくブースに立って来場者に声をかけ続けるのはなかなか心が折れます)
また、KPIは細かく砕いたほうが原因がどこにあるのか?良かった点はどこだったのか?の振り返りがしやすくなります。展示会におけるKPIは以下の記事にてまとめているので、開催前にぜひ一度ご覧ください。
関連記事:『【完全版】振り返りに役立つ!開催前に確認するべき展示会におけるKPIのすべて』
3つ目に考えるべきは予算の設定です。展示会の開催にかかる費用は大きく分けて以下の4つです。
「会場の費用」 「会場装飾の費用」 「備品、機材の費用」 「当日スタッフの人件費」
展示会を開催する目標となる数値に対して、費用対効果があっているかを計算しながら予算を決めていきましょう。
ここまでで展示会を開くための企画についてまとめてきました。ここからは実際に展示会を開催するための行動について解説していきます。展示会を開催するうえで重要なポイントは大きく分けて3つ。
「出展社の誘致」 「来場者の集客」 「展示会の準備」
となります。順番に解説していきます。
まずは出展社の誘致です。展示会のテーマに合わせて複数社が合同で開催する場合には参加する出展社を誘致する必要があります。(もちろん、自社のみで展示会を行う場合にはこの工程は発生しません。)誘致する出展社は「付き合いのある企業を招待するパターン」と「広く出展社を募り参加を促すパターン」の2つです。
「付き合いのある企業を招待するパターン」であれば営業担当者が個別に紹介をしていく形となりますが、「広く出展社を募り参加を促すパターン」の場合は来場者と同様に集客するための準備が必要です。展示会用の特設サイトを制作し、必要であればWeb広告を打つなどすることで広く認知度を高めていきましょう。
出展社の集客にとって重要なことは『権威付け』と『収益性の向上』です。出展企業はある程度の金額を支払ってブースへの出展権を買うようになります。そして、実際に出展するにしてもブースの制作費や人件費など少なくない費用と稼働がかかってきます。
出展を考える企業が持つ「この展示会に出展しても大丈夫だろうか?」「ちゃんと元がとれるだろうか?」といった心配を払拭してあげる必要があります。具体的には、特設サイトの見栄えに気を遣う、後援団体を記載したり開催実績を表記する、過去に実施した展示会の様子を掲載する、などのアピールをすることでこれらの心配をなるべく払拭するように心がけましょう。
開催が決まったら次は来場者の集客です。せっかく展示会を開いても来場者がゼロであれば意味がなくなってしまいます。一人でも多くの来場者が集まるように、集客方法をいくつかご紹介します。基本的には来場者が申し込む方法はWebサイトに設置した申込フォームからとなります。なので、展示会の特設Webサイトにどうやったら集客できるのか?を考えていくとよいでしょう。
Webサイトへの集客方法は大きく分けて3つ
「既存顧客リストへのコンタクト」 「リファラル集客」 「Web広告」
関連記事:『【徹底解説】"熱量伝播"を使って展示会を盛り上げろ!SNSを使った最強の展示会集客術』
「既存顧客リストへのコンタクト」が一番手頃です。すでに存在する顧客リストに対して、申込フォームのURLが付いた展示会の案内メールを送信し、そのまま申し込みを促します。自社のみで開催する新商品展示会などは基本的にこの集客方法となるでしょう。有料の展示会などであればプロモーションコードを使うなどして、特別感を演出するとよいでしょう。既存顧客リストであればある程度どんな起業家の情報があるので、展示会のテーマに興味がありそうな企業を集めることができます。
「リファラル集客」とは、展示会の情報をまとめたサイトなどに展示会の情報を記載してもらったり、業界内で有名な人間にコンタクトをとってブログやSNSで宣伝してもらうといった、他社の紹介スタイルによる集客方法です。BtoCの展示会であれば、インフルエンサーと呼ばれる人たちに依頼することで大きな集客効果を期待できます。こういった口コミは事前だけでなく開催期間でも効果を発揮するので、拡散されるような面白い仕掛けやイベントを展示会の中で催すことも考えてみると面白いかもしれません。
「Web広告」ですが、1万人以上の動員を目指すような大規模な展示会などで必要となってくる手法でしょう。展示会に興味を持ちそうな人がどんな検索キーワードで情報収集をしているのかを考え、それらの人たちに刺さる広告を作成し、Webサイトへの集客を行います。ただ、Web広告を実施するにはそれなりの予算が発生しますので、多くの来場者を集める場合のみ必要になってくる手段です。
関連記事:『【初心者向け】「誰も来ないんですけど...」を避けるための展示会の集客に使える施策!』
関連記事:『【Tips】展示会の歩留まり率を高める!申込者の3種類のモチベーションに合わせてリマインドを最適化しよう!』
最後に、集めた人に情報を入力してもらうための申込フォームの作り方も重要です。そこまで人数が多くない場合にはGoogleフォームで作ることも可能ですが、Googleフォームはデザインの幅が狭く展示会の印象を下げてしまう恐れがあるうえに、500人を超えてくるとそれぞれの登録情報を集計・管理することが難しくなってきます。
500人以上の展示会を企画する際には、申込フォームの作成・管理からQRコード来場証の発行までできる来場管理システムを活用することをお勧めします。展示会のイメージに合わせたデザインの設定や、マウス操作だけで申込者のストレスを減らす申し込みフォームを作成できるので、業務効率を大幅に上げることができます。
最後は展示会自体の準備です。具体的には、受付の準備・会場内の準備、そしてそれぞれへの人員の配置です。会場内の準備については展示会の種類によって多様ですが、受付はどんな展示会でも必須の箇所。今回は受付の準備について解説いたします。
来場者の方がまず最初に通る受付は、展示会の顔ともいえる重要なポイントです。スムーズな受付をこころがけましょう。受付における最も多いトラブルは「来場者を捌ききれない」というものです。終日受付を空けているような展示会であればあまり問題になりませんが、要注意は"短時間で大勢の来場者が来る"場合です。
一般的に、来場者の申し込みを確認して、名前を控えて、パスや資料などを渡すというオペレーションを受付で行う場合、一つの窓口で捌ける人数は1時間で150人程度となるでしょう。受付時間と申込人数を加味して窓口の数を増やし、それに合わせて人員も配置しましょう。窓口を増やす場合はPCの電源確保や、WiFiの準備を忘れないようにご注意ください。
受付でのオペレーションマニュアルも重要です。よく起こる受付でのやりとりは「来場証を忘れた」「申し込んでいないが飛び入りで参加できるか」といった申し込みに関するものから、「○○は会場内のどこにあるか?」「△△さんを呼んでくれないか」といった展示会に関するものまで様々です。事前にFAQを準備しておきましょう。
いよいよ迎える展示会の当日。設定されたKPIを達成するための方法をいくつかご紹介いたします。
まずは「来場パス」の設定です。展示会には様々な来場者が訪れるもの、業界や職種も様々です。そんな中で、出展社側が来場者を一種雲で判別するために必要なのが「来場パス」です。首から下げたネックピースに業界や職種といった属性情報で色のついたパスを入れて展示会の中を回ってもらいます。「来場パス」を準備しておくことで効率的に自社商品・サービスに興味のありそうな人を見分けることができるようになります。
続いては「素早いアテンド」です。重要な招待客や事前に見たい商品のあるお客様などは担当の営業がアテンドすることで、スムーズに話を進めることができるようになります。"素早い"と書いたのは、もちろん来場者の方をお待たせしないというのも理由ですが、窓口を混ませないということもその理由の一つです。来場者が受付でチェックインし、受付担当者が営業担当者へ連絡、営業担当者が受付に向かうという工程はそれなりに時間がかかってきます。その間はその窓口が使えなくなってしまいますので、出来る限り素早くアテンドができるように準備をしておきましょう。
続いて「行動履歴の取得」です。各ブースでチェックインをすることで、来場者がどんなブースをどんな順番で回ったのかを確認することができます。イベント内での来場者の行動は意外に把握しづらいので、出展社の方にとっても重要なデータとなります。行動履歴を把握することで、来場者の課題感がどのくらい強いのかを確認することができるので、展示会後のフォローアップがしやすく、商談へも繋げやすくなります。
続いて「アクションポイントの発行」です。展示会への申込や展示会の中での行動でポイントを付与・消費する仕組みを作るができます。例えば、〇個のブースを回ることで粗品をプレゼントといった回遊施策などで活用することができます。ほかにも、展示会内で貯めたポイントに応じてその後のレセプションパーティでドリンクチケットに交換するといった満足度を高める施策にも使うことができます。
最後は「セミナー実施」です。展示会の中で最新技術やトレンドについてのセミナーを行うことで、より幅広いリードの獲得を行うことができるようになります。セミナーも事前予約制や参加時のチェックインが必要な仕組みにすれば、参加者を絞り込むことができるので、セミナーの資料を個別に送付したりアポを取ったりすることもできるようになります。
講師を募ったり、資料を作ったりと準備は非常に大変ですが、展示会でのリード獲得だけでなく、展示会自体への集客効果・企業のブランディング効果なども期待できるので、余裕があればぜひ取り組んでみましょう。
関連記事:『【Tips】現場で使える!来場者管理システムQ-PASSを活用したリード獲得テクニック集』
展示会において、リードを集めることも重要ですが一番に考えるべきは「来場者の満足度は高いか?」という点です。展示会自体が来場者にとって有益であることはもちろん、楽しんで参加できる仕掛けつくりも欠かせません。満足度を高めて展示会へのロイヤルティを向上させることで、周囲の人間への口コミや継続的な参加が期待できます。
ただ、その逆もしかり。満足度の低い展示会にしてしまうとその後に続きません。主催者だけでなく、出展社を含めたトータルプロデュースで来場者のロイヤルティ向上を目指しましょう。
展示会を開き、最後の来場者が退場してもまだ展示会は終わりではありません。集めたリードはフォローをしてクロージングしていくことが大切です。興味のあるお客さんにはフォローを行って商談や受注につなげていきましょう。展示会後のフォローについて重要な点は2つ。それは手段とスピードです。
展示会後のフォロー手段は電話かメールになりますが、リードの熱量によって変えましょう。情報収集をしたかっただけのリードと、一刻も早く課題を解決したいリードでは熱量が違います。それぞれに合った方法でフォローを行いましょう。
もう一つ重要なのがスピードです。展示会では多くの企業との接点が生まれ、競合となるような企業からのフォローも続々と届きます。会話した内容を相手が忘れないうちに、早めのフォローを心がけましょう。
関連記事:『【Tips】こんなアフターフォローはやめよう。展示会開催後に避けるべきよくある失敗例4選』
以上、展示会の企画・準備・当日運営・その後のフォローまで含めた展示会開催についての解説でした。かなり面倒な展示会の開催ですが、その効果は絶大。興味のあるお客様と直接コミュニケーションを取ることができる展示会の開催はメルマガや広告とはリードの獲得数とその質が比べ物になりません。
来場者管理システムなども組み合わせながら、効率的に展示会の運営を行って貴社のビジネスに展示会という新たな出会いの場を作り出しましょう!